序章「史実」



太古の昔からこの世界ではポケモンと人間が共に助け合って生きてきた。
そして数々の自然の恩恵を受け、人類は繁栄することになった。

やがて一つの変化が起こる。


陸の恩恵を受ける者達は「陸の神」を、海の恩恵を受ける者達は「海の神」をそれぞれ信仰するようになっていく。
彼らが理解し合うことなどできるはずもなく、両者の対立は日に日に深まっていった。
そしてある日、些細なもめ事から遂に両者は全面的な戦闘状態へと発展し、長い戦いの火蓋が切って落とされたのだ。
戦いは混乱を極め、何千もの人々が命を落とし、またポケモンも人々と運命を共にした。
当初、陸の民が有利に戦いを進めていたのだが、海の民が孤島に拠点を移してから事態は膠着状態へと突入した。

どちらも攻めあぐねて均衡状態が数ヶ月も続こうとしていた時、陸の民はある物を発見する。そう、藍と紅の2つの珠である。
そして陸の民は長い年月をかけ、遂に陸の神「グラードン」を発見したのだ。

だが、ここで予期せぬ事態が発生する。
グラードンは自分を利用しようとする人間の悪しき心を察知し、自らを守るために覚醒したのだ。
グラードンは当然人間の手に負えるわけがなく、やがて日照りによって世界は荒廃していった。
気温の上昇は生態系にも大きな影響を与え、両者は深刻な食糧不足に陥る。
特に広大な大地を基盤にする陸の民と違い、漁業により生計を立てていた海の民は日持ちする食糧があまりなく、大量の餓死者を出した。

追い詰められた海の民は決死の行動にでる。
それは陸の民の本拠地に乗り込み、珠を奪うというものだった。
そして作戦は何人もの犠牲を出してどうにか成功する。
海の民は手に入れた珠をすぐに使い反撃に転じた。
即ちもう一体の神「カイオーガ」を復活させたのである。

目覚めたカイオーガは本能に従い、すぐさまグラードンと対峙した。
海は荒れ狂い、大地を飲み込もうとする。大地もまた、海を侵略しようと土砂を海に堆積させていく。
海岸線が湾曲を繰り返し、山が、川が、あらゆる地形が、形を一変していく。
その戦いは7日7晩続いたが、決着がつかないまま2体の神は力尽き、そのまま永い眠りについた。

しかし、2体の神が眠りについても異常気象はそれから数十年もの間、決しておさまることは無かった。
海が荒れた事により、各島々に拠点を構えていた海の民は互いに連絡をとることが出来なくなり自然消滅する。
一方、陸の民の方は強硬な上層部に反発した下層の人々が反乱を起こして内部崩壊に至る。
こうして世界の均衡は再び取り戻された。


そして、数千年の時が経つ。歴史はやがて伝説と化し、人々の心から忘れ去られようとしていた。
しかし、世界は再び危機を迎えようとしている。
陸を信仰するマグマ団と、海を信仰するアクア団が互いを否定し、古代の過ちを繰り返そうとしているのだ。
そんな中、悲劇を二度と起こさせない為にある一つの組織が誕生した。
背後にホウエンの反マグマ、アクア団の勢力を味方に付けた彼らは、徐々に力を増し、人数も次第に増やしていく。

その組織、名をオルドビスと言う。

第3勢力の台頭により、戦いはさらに激しさを増していく……



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