第五回 神と呼ばれるポケモン


皆さんは神という言葉を聞くと何を思い浮かべるだろうか?
日本的な考えでは万物にやどる八百万の神だろうし、キリスト教的には精霊とイエスとその父が一体となった三位一体のものだろう。
また、これを読んでいる人の中には神などという非科学的な存在を信じないという人もいるかもしれない。

この世界の信仰は原始的な多神教に基づき、神は各一地方に1体または複数存在する。その点では最も近いのは日本的な神の姿だと言えよう。
では神とは一体何なのか。
広辞苑第5版によると神とは「人間を超越した力を持つ、かくれた存在。人知を以てはかることのできない能力を持ち、人類に禍福を降すと考えられる威霊。」とある。

だが、各地の神は他のポケモン同様に、人工的に作られた生命体であることは、神がポケモンである事からも明らかだ。
よって最初の「人間を超越した」という部分が否定され、神は神でなくなってしまう。
無論、現在の人類に神を再現する力は無いのだが、かつての人類は平然とそれを創っていたに違いない。

ならば神とは只の信仰の対象としてだけの存在なのか?
いや違う。神は人間に「幸福」と「災い」をもたらす存在だ。

神は人類に住処を提供している。このことはオーキド博士の理論やホウエンの神の存在が証明している。
神は人類が住めるような環境を作る役割があるという事だ。同時に、神が欠けたり、神々の接触を招く行為は避けなければならない。

古代からいくつかの災いの記録が残っている。
地震、干ばつ、火山活動などその形態は様々であるが、どれも例外なく自然災害だ。


更に、ある学者はこう説明する。

━━以下、ミルヒ教授のレポートG-23より引用━━

神とは即ち前人類が創り出した地球の環境を整備する生体装置ではないだろうか。
だから神は滅びてはいけない。だから神は1万年単位で活動出来るように普段は眠りに就いている。それは前人類が来るべき災厄に備えて生み出したのだ。
だが、愚かな者がその力を欲するようになった。勿論、それも前人類には予測済みの事であったのだろう。
そのため神には強力な防御機構が備わっている。それは天変地異を起こしてでも自らを守ろうとする防衛本能。そして神が災いを起こすのは人々に対する戒めなのだ。
だが、近年の科学技術はこの防御機構をも超えようとしている。
愚かな人々は理解していない。真に恐れるべきは神の災いではなく、神を失う事なのだと。

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神を追い求める事は人間には出来ない。神は手が届かないからこそ神なのだ。


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